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馬毛島⑥

政府 馬毛島買収、年内合意へ 米軍機の訓練移転
https://mainichi.jp/articles/20181129/k00/00m/010/186000c

『米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転候補地になっている鹿児島県西之表市の馬毛島(まげしま)を巡って、政府と地権者の交渉が年内にもまとまる見通しになった。難航していた売却価格で双方が歩み寄り、政府が110億~140億円で馬毛島を取得する。国内でFCLPの騒音被害に悩まされてきた自治体にとっては負担軽減につながる。政府は米海兵隊が沖縄県で実施してきたMV22オスプレイの訓練移転も視野に入れている。
FCLPは、陸上の滑走路を空母の甲板に見立てて艦載機が降下と上昇を繰り返す訓練。騒音問題の深刻化を受け、1991年から暫定的に硫黄島(東京都)で実施している。
日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)は旧民主党政権時代の2011年6月、FCLPの移転候補地として馬毛島を共同文書に明記した。16年に売買交渉が本格化したが、島の大半を所有する開発会社「タストン・エアポート」(東京都)は一時、約200億円を要求。防衛省は約50億円を主張し、交渉は平行線をたどっていた。
こうした中、今年10月に同社の社長が交代。新社長は価格交渉に柔軟な姿勢に転じ、政府との協議が進展した。岩屋毅防衛相は10月26日の記者会見で「FCLP施設の確保は安全保障上、極めて重要な課題。協議を加速したい」と述べた。
FCLPは硫黄島が悪天候で使えない場合には、米軍厚木飛行場(神奈川県)や米軍三沢基地(青森県)で実施されるため、現在、空母艦載機部隊が駐留している米軍岩国基地(山口県)を含む3県が騒音被害などを訴えていた。
馬毛島は無人島。岩国基地からの距離は馬毛島が約400キロ、硫黄島が約1400キロで、米軍にとっても移転はメリットがある。交渉がまとまれば、政府は地元に説明し、理解を求める方針だ。昨年3月の西之表市長選では移転反対派の八板俊輔氏が初当選した。ただ、八板氏は就任後に「ニュートラルな立場」を表明し、市民には経済効果への期待もある。一方、地元医師会や漁業者の一部は移転に反対している。

合意




米軍移転候補地の所有者に突然の破産申し立て…囁かれる防衛省の意図と「馬毛島」利権
https://biz-journal.jp/2018/11/post_25507.html

『米空母艦載機の発着訓練(FCLP)の移転先候補地に挙がっている鹿児島県・馬毛島(まげしま)を所有するタストン・エアポート(旧社名は馬毛島開発)が破産を申し立てられていた問題で、新たな動きがあった。
10月25日付朝日新聞は、こう報じた。
「タストン社によると、申し立てをした債権者2社に(10月222日、約4億2千万円を返済し、2社が申し立てを取り下げた。東京地裁が出していた保全管理命令も解除される見通しという。タストン社では返済資金の借入先の求めに応じて今月15日、長く社長を務めてきた立石勲氏が退任し、次男で副社長の薫氏が社長に就任。薫氏は朝日新聞の取材に『政府、防衛省と売買に向けて交渉をしていく』としている。防衛省は馬毛島を買い取る方針で、『交渉を続ける』としている」
タストン・エアポートは債権者から破産開始を申し立てられ、東京地裁から6月15日付で保全管理命令を受けた。帝国データバンクによると、負債総額は2016年10月期末で240億2800万円。
馬毛島は種子島の西約12キロにある、およそ8平方キロメートルの無人島。神奈川・米軍厚木基地から山口・岩国基地へ空母艦載機部隊の移駐に伴い、東京・硫黄島で行われている空母艦載機の発着訓練の代替地として、11年の日米の合意文書に馬毛島が明記された。
島の99%の土地はタストン社が所有しており、交渉しやすいことも移転先に選ばれた理由とされる。16年11月、日本政府とタストン社が売買に向けての合意書を締結し、同年12月に鑑定評価業務の競争入札を開札。17年3月末までに買収額が確定するとみられていた。だが、価格で折り合うことができず、交渉は事実上ストップした。
その最中に、タストン社が債権者2社から破産を申し立てられたのだ。その意図をめぐって、さまざまな臆測が飛び交った。タストン社の破産が確定すれば、破産管財人が任命される。防衛省の売買交渉の相手は管財人になり、安く買い上げることができる。防衛省の意を汲んだ上での破産申し立てではないかと、取り沙汰されている。
朝日新聞の報道によれば、債権者への返済資金の借入先の求めに応じ、強硬派の立石勲社長が退任、推進派の次男の薫氏が新しい社長に就いたという。どちらに転んでも、防衛省の思惑通りにコトは進んでいくように映る。売却交渉は加速し、早晩、馬毛島の売却が決まることになるとみられている。

馬毛島が“利権の島”になったのは、今回が初めてではない。およそ四半世紀前、馬毛島を舞台とする平和相互銀行による政界献金疑惑が持ち上がった。世にいう「馬毛島事件」である。
1974年ごろから、平和相互銀行の子会社だった馬毛島開発が馬毛島の土地の買い占めを進め、80年に無人島になった。その当時、国は石油備蓄基地の候補地を探していた。馬毛島を国に買い上げさせようと、平和相銀はひと儲けをたくらんだ。しかし、石油備蓄基地が鹿児島志布志湾に決まったため、計画は挫折。この島の買収に要した資金の金利負担が平和相銀の重荷になった。
馬毛島を持て余していた平和相銀は原発の廃棄物処理場や自衛隊のレーダー基地として250億円で買い上げさせる目的で、大物右翼に政界工作を依頼して20億円を提供した。これが83年の馬毛島事件である。だが、これも失敗した。
平和相銀を買収した住友銀行は、95年に島の99.7%の土地を所有する馬毛島開発を4億円で立石勲氏に売却した。馬毛島開発は11年1月に社名変更してタストン・エアポートとなった。

立石勲氏は1933年、鹿児島県枕崎市で生まれた。地元の県立鹿児島水産高校を卒業。上京して64年に建設会社を立ち上げ、立石建設と砕石会社、立石建設工業の社長を務めた。
米軍の使用を想定して、無人島の馬毛島を買収した。巨大な滑走路を建設。立石氏は07年、米軍空母艦載機離着陸訓練施設の誘致を表明した。
ところが、ハプニングが起きた。沖縄・米軍普天間飛行場の移設問題だ。民主党政権の鳩山由起夫首相(当時)の「最低でも県外」発言以来、大混乱に陥った。移設先として、さまざまな地名が挙がった。
「政府から移設を求められれば、積極的に受け入れたい」
立石勲社長はこう表明した。だが、立石社長の期待に反して、馬毛島移設は実現しなかった。
迷走の果てに2010年5月、辺野古に移設することで日米が合意した。自民党政権時代に日米で合意していた辺野古への回帰である。沖縄県民に県外移設の期待を抱かせた鳩山政権は完全に信頼を失い、同年6月、鳩山氏は首相の椅子を手放さざるを得なくなった。
さらに10年5月、立石氏の脱税が報じられた。防衛省と立石氏側の売却交渉は難航。12年、立石氏は「島を中国資本に売る」と発言して揺さぶりをかけた。16年、防衛省と立石氏は交渉のテーブルに着くことで合意したが、進展はなかった。
最大のネックは、価格である。立石氏が07年、空母艦載機の発着訓練の誘致に名乗りを上げたとき、「買い上げ価格は200億円」と噂された。140億円かけて滑走路をつくったといわれるが、200億円で買い上げてもらえば単純計算で56億円近い儲けが出る。
それから十余年。タストン・エアポートの負債は240億円と報じられている。200億円程度の買い上げ価格では赤字となる。果たして、どの程度の価格で折り合いがつくのかが、最大の見どころである。』



米軍訓練候補地問題が決着か…交渉難航していた「あの島」のいま あとは価格でどこまで歩み寄れるか、だ
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58481

『米軍普天間基地の辺野古移転に、負けず劣らず長期化しているのが、米空母艦載機の陸上離着陸(FCLP)候補地問題である。
そのFCLP問題が、解決へ向けて動き出した。菅義偉官房長官が指示、官邸主導でかねて「本命」の馬毛島で決まりそうだ。
「ネックは所有者との価格交渉と、抵当権を設定している債権者の整理だった。10月下旬までに双方、メドがついた。国が購入、米軍に提供することになる」(防衛省関係者)
馬毛島は、鹿児島県種子島の西方12キロの南シナ海に浮かぶ無人島である。米空母艦載機の離着陸には、高度な技術を要し、「タッチ&ゴー」と呼ばれる訓練が欠かせない。
だが、これには耳をつんざくような騒音が発生するため、地域住民から歓迎されない。したがって人の住む種子島から12キロ離れた無人島の馬毛島は、FCLP訓練にはうってつけだった。

問題は、島の99%を握るタストン・エアーポート(東京都)との交渉が難航したこと。政府=防衛省は、これまで交渉に10年以上の歳月を要している。
タストンは、東京都世田谷区で採石、プラント、建設業などを営む立石建設グループの1社。グループを率いるのは立石勲氏である。95年に、4億円で島を買った立石氏は、「国防の役に立ち、利益にもなる」という観点から、飛行場の建設工事に取りかかる。
まさに私財を投入し、整地を行なって滑走路を建設。上空からは、南北4200メートル、東西2400メートルの滑走路が敷設されているのが見える。もちろん軍用に耐えるには、今後、精緻な作業が必要だが、私企業が、ここまで手掛けた例は過去にない。
ただ、その無理がたたった。立石建設グループは、ピーク時、年商150億円を誇り、羽田空港を始めとする関東の護岸工事、東北の防波堤工事などで実力を発揮するが、その一方でタストンは、負債総額240億円の「何も利益を生み出さない借金まみれの企業」となった。
それが防衛省との交渉で、立石氏が強気を貫く理由となった。本人がインタビューなどで語ったところによれば、「これまでに注ぎ込んだ資金は150億円。従って、それ以下の価格で譲ることはあり得ない」と、いい放つ。
防衛省の調達担当幹部は、何度もサジを投げた。「あのオヤジが生きている間は、絶対に無理!」と、怒りを露わにする幹部も少なくなかった。
それでも、米軍基地との距離や騒音などの諸条件を考えた時、馬毛島が最も相応しいということで、交渉を継続せざるを得ず、それがトランプ政権の誕生で加速した。

トランプ氏は16年秋の大統領戦の頃から、「日本は在日米軍の駐留費をもっと負担すべきだ」と、主張。そのトランプ氏が大統領となり、信頼関係を築くためにも安倍晋三政権は、懸案のFCLP訓練基地問題にカタをつける必要があった。
私は、その事情と立ち塞がる問題点を本サイトで記事にした(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/50809)。
当時、立石氏は、防衛省が17年3月末をメドに、「島の価格算定」に入っていることを明かしたうえで、「これまでに20年以上もやってきて、やっと大詰めを迎えている。そっと見守って欲しい」と語っていた。
だが、鑑定価格は約40億円と立石氏の思惑を大きく下回るものだった。怒りにまかせたのか本気なのか、立石氏は「400億円じゃないと売らない」と言い出した。
経緯を知る立石氏の知人がいう。
「双方が無茶だった。防衛省は、森林を伐採、整地して滑走路を造るという立石氏の作業をまったく評価せず、近隣の『島の価格』に合わせた。一方、立石氏は、負債を解消、利益を上乗せして売ろうというのだから、無理な話だった」
さらに問題をややこしくしたのは、当時、国会は森友学園問題に揺れており、国有地の売買は、鑑定価格に合わせねばならなくなった。いくら国策でも、高値購入は認められない。ただ、400億円が法外であるのは立石氏も承知。具体的には、下りてきて交渉に乗るだろうが、40億円では納得しない。完全に、暗礁に乗り上げた。

それを動かしたのが、タストンの債権者である。建設会社が東京地裁に破産手続きの開始を申し立て、6月15日に開始決定が出た。また、もう1社金融会社が破産開始を申し立て、8月17日に開始決定が出た。
前出の立石氏の知人が推測する。
「タストンを破産に持ち込み、そのうえで島を買おうという勢力の“差し金”だろう。それをビジネスとしてやる企業があるとは考えにくい。防衛省が債権者を動かしたのではないか。立石氏もそう思っている」
なんとか手に入れたいという防衛省の気持ちもわからないではないが、立石氏に旧知の金融会社がスポンサーとしてついた。そのために返済はなされた。
『朝日新聞』(10月25日付)が、こう報じている。
<タストン社によると、申し立てをした再建者2社に、22日、約4億2000万円を返済し、2社が申し立てを取り下げた。(中略)タストン社では返済資金の借入先の求めに応じて、今月15日、長く社長を務めてきた立石勲氏が退任し、次男で副社長の薫氏が社長に就任(した)>
この借入先というのがスポンサーである。立石氏が相手では、不信の念が強い政府は話ができないということで、スポンサーは立石氏から「全権を委任する」という一筆を取った。破産をかけるなど策を弄した防衛省では話が進まないと、現在、売却交渉はスポンサーの弁護士と官邸との間で進められている。
後は、価格交渉だけである。スポンサーがどこまで歩み寄り、政府がどこまで値を上げることができるのか――。

価格の他には、抵抗権を設定している業者との問題がある。たとえば、私が前回の記事でインタビューした「5億円の毛抵当権設定仮登記」を打った元暴力団組長である。
だが、これについては昨年末の段階で、「判決」によって仮登記は抹消されていた。元組長関係者がいう。
「判決によって確かに抹消された。ただ、債権は残されており、元組長の親族が第三者破産を申し立て、予納金も支払った」
一筋縄ではいかないということだが、少なくとも謄本上の問題にはカタがついている。後は、双方、どこまで価格的に歩み寄れるか。機は熟している。』

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