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交通インフラの“再劣化”

“再劣化”インフラ維持に新たな課題「早急な検証が必要」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181202/k10011731981000.html

『橋やトンネルなどのインフラ維持に新たな課題です。
ひび割れなどが見つかり、一度は修繕された橋などを専門家が調査したところ、同じ箇所が再び劣化する「再劣化」が、少なくとも100件以上起きていることが分かりました。中には、わずか数年のうちに再劣化したケースもあり、専門家は「点検や修繕の方法が不適切なケースがあり、早急な検証が必要だ」と指摘しています。
岐阜大学の国枝稔教授の研究グループは、岐阜県内を中心に、ひび割れなどが見つかって一度は修繕された橋などについて、その後の状況を5年かけて調査しました。
その結果、修繕した箇所に再び、ひび割れなどが発生する「再劣化」が少なくとも128件起きていることがわかりました。
このうち、岐阜県内の14の橋などでは、想定よりかなり早く劣化が進んでいて、修繕からわずか2年で再劣化したケースもありました。

再劣化は、鉄筋などを腐食させる塩分が含まれた凍結防止剤を使用する地域に多い傾向があり、周辺の環境などを考慮した適切な修繕が行われておらず、劣化が早まった可能性が高いということです。
こうした再劣化は、各地で発生している可能性があるものの、詳しい実態は分かっていません。
国枝教授は「実態の把握を進めたうえで、技術的な分析を行い、適切な修繕方法を検証する必要がある」と指摘しています。
不適切な修繕が、想定より早い再劣化の原因になっていたケースがあります。
岐阜県高山市にある長さおよそ60メートルの橋は、側面のコンクリートに数多くのひび割れが見つかったため、平成22年に表面を5センチ程度はぎ取って、上からモルタルで覆いました。
しかし、わずか2年後の点検で、修繕した場所に再びひび割れが見つかりました。その後も劣化は進行していて、取材した先月の時点でひび割れは一面に広がり、幅も広がっていました。
調査した岐阜大学の国枝稔教授によりますと、凍結防止剤の塩分を含んだ水が染み込んだことで、内部の鉄筋の腐食が進んでいる可能性があるということです。
使用したモルタルでは、水の浸透を止めることができないため、より強度の高いモルタルを使うなど、現場の状況を考慮して修繕を行う必要があると指摘しています。
現時点では、この橋の安全性に問題はないということですが、国枝教授は、ひび割れを放置するとコンクリートが落下したり、強度が低下したりするおそれがあるとしています。
点検で問題点を見抜けなかったことが、再劣化につながったケースもあります。
富山市にある昭和47年に建設された長さ69メートルの橋は、道路と橋を接続する金属製の装置が壊れ、数センチの段差が生じました。
タイヤがパンクするおそれもあり、3年前から通行止めになっています。
この橋では、平成20年に市が委託したコンサルタント会社の点検で段差が見つかり、平成22年に装置を交換しました。
ところが、3年後の点検で、再び段差が見つかりました。市が改めて調べると、橋を下から支える装置が腐食して壊れているのが見つかり、これが段差の原因だったことがわかりました。
富山市の植野芳彦建設技術統括監は「結果として点検に不備があったと言わざるをえない。正しく点検しないと修繕の判断を間違ってしまい、財政的な負担が増す懸念もある」と話しています。
中央自動車道の笹子トンネルの事故を受けて、橋やトンネルを5年に1度点検することが道路の管理者に義務づけられました。
国土交通省によりますと、昨年度までに橋は80%の59万か所余り、トンネルは71%のおよそ8000か所で、計画どおり点検を終えていて、今年度中にはすべての点検が終わる見込みです。
これまでの点検で、修繕が必要とされたのは、橋がおよそ5万8000か所、トンネルが3300か所余りに上っています。
ただ、昨年度までに修繕が完了した割合は、橋がおよそ15%、トンネルもおよそ40%にとどまっています。
費用の確保のほか、自治体では技術系の職員の確保も課題となっています。


再劣化は全国でどれくらい起きているのか。
NHKが47都道府県に取材したところ、ほとんどがその実態を把握できていませんでした。
再劣化を確認しているのは、鹿児島県や山形県など一部の自治体で、このうち山形県では、修繕した橋が10年もたたないうちにモルタルが浮き上がるなどしたため、再修繕を迫られています。
多くの自治体は再劣化への対応が課題だとしながらも、修繕の履歴やその結果が蓄積されていないため、十分な実態把握が難しいとしています。
こうした自治体では「今後、継続的な点検で劣化の状況を正確に把握し、インフラの長寿命化に向けて、より適切な修繕方法を検討する必要がある」としています。
インフラの維持管理に詳しい岐阜大学の国枝稔教授は、再劣化が相次ぐ原因の1つに、周辺の環境を考慮した適切な修繕が行われなかった可能性を挙げています。
鉄筋コンクリートの場合、塩分や水分が浸透すると内部の鉄筋が腐食するため、潮風が当たる海沿いの地域や、凍結防止剤をまく雪の多い地域などは、水が染み込みにくい材料で修繕する必要があるということです。
国枝教授は「修繕の設計や施工などで、配慮すべきことを怠ったため再劣化が起きていると考えられる。定量的にはわからないものの全国でそれなりの数があるとみられる」と分析しています。
そのうえで、「他でうまくいった修繕方法も、環境や構造物が変われば効果を発揮しないことはよくあることだ。『一度修繕したインフラもいずれは劣化する』という前提に立って、修繕したインフラがどのように悪くなるか観察し、得られた情報を技術的に分析したうえで、次の修繕に生かすことが重要だ」と指摘しています。
また、今年度で一巡目が終わる5年に1度の点検については「今まで何も見ていないに等しかったインフラの状況を把握するという意味では一定の意味があった」と評価したうえで、「インフラをよい状態に保つためには、点検の中身を検証し、確認するポイントを定めるなど、点検の質を高める必要がある」と話しています。』

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